茶道の道具を揃えようとすると「種類が多くてどれが正解か分からない」「伝統的なルールが難しそうで気後れしてしまう」と感じる方も多いのではないでしょうか。趣味に投資できる余裕があるからこそ、安易な安物ではなく、自分のライフスタイルに馴染み、長く愛せる「物語のある道具」に出会いたい。その想いは、とても素敵な感性です。
茶杓は単なる茶をすくう道具ではなく、季節の移ろいや亭主の想いを乗せる、いわば「茶室の主役」の一つ。「茶人の刀」と言われるほど茶の湯では格の高い道具です。
ですが最初購入するにあたり、そんなに堅苦しく考えることはありません。
ただ、少しだけ知識を知り選び方の参考にしてください。
【初心者向け】茶杓の種類と選び方

茶杓は単なる消耗品ではなく、季節の移ろいや亭主の想いを乗せる、いわば「茶室の主役」。まずはその基本となる「格付け」と「素材」を整理しましょう。
素材が語る物語:竹・漆・木材がもたらす五感への刺激と使い心地
茶杓の素材選びは、ジュエリーを選ぶ感覚に似ています。
- 竹(白竹・煤竹): 最も王道。しなやかな弾力があり、使い込むほどに飴色へ変化する育てる楽しみがあります。
- 漆(塗り物): 指先にしっとりと吸い付く質感。黒や朱の光沢が、お茶席に華やかさを添えてくれます。
- 木材(桑・梅など): 独特の重厚感と肌触り。自然の温かみをダイレクトに感じられます。
シーンを彩る「格」の正体:真・行・草を「自分らしいおもてなし」に読み替える
茶道には「真・行・草(しん・ぎょう・そう)」という格付けがあります。
真・行・草と格の上から順番となっています。
- 真: 象牙や節のない竹。最高にフォーマル。特に象牙の茶杓は普通のお点前には使用しません。
- 行: 漆塗りや、節が端にあるもの。少し特別な日、丁寧な暮らしを意識したい時に最適です。
- 草: 竹の真ん中に節がある「中節(なかぶし)」。私たちが日常で最も親しみ、利休が愛した「わび・さび」の象徴です。
【厳選】茶杓の失敗しない比較ポイント
【比較表】初心者向け定番から一生モノの作家物まで
| ランク | 予算相場 | 主な素材 | おすすめのシーン |
|---|---|---|---|
| エントリー | 3,000円~ | 白竹(中節) | 毎日のお稽古・自分用 |
| ミドル | 10,000円~ | 煤竹・銘付き | 丁寧なおもてなし |
| ハイエンド | 30,000円~ | 作家物・漆塗り | 自分への一生のご褒美 |
後悔しない茶杓選びの最終チェックリスト
茶杓を購入するときのチェックポイントです。
「景色」で選ぶ
「景色(けしき)」とは、竹のシミや節の形を風景に見立てる美しい感性です。
ただ、最初は白竹の反りのない中節の茶杓が使いやすいかと思います。
形状にあまり特徴のないものととらえてください。
生産地と素材で選ぶ
生産は断然日本産をおススメします。
しなやかさと細かい仕上げが圧倒的に海外生産のものと違います。
素材は竹がおススメ。カジュアルに樹脂のものもいいですが、静電気などが発生しやすく、抹茶が茶杓にくっつきやすいデメリットもあります。
季節やシーンによって使い分けるのもいいですね。
野点(のだて)用の茶杓は避ける
野点とは屋外で茶を点てることです。持ち運びに便利なように折りたためる茶杓や少し短めの茶杓もありますが、お茶を点てることに慣れていないうちは通常のサイズの茶杓を選んだほうが無難です。意外と扱いにくいためです。
購入時「野点用」と表記がないものを選んでください。
おススメ茶杓3選
本来、茶杓も茶碗同様、実際実物を見て選ぶことをおススメしますが、なかなかお店に行くのも勇気がいると思いますので、ここでピックアップした3選を掲載しておきます。
▼煤竹にしては安価な初めの1本に最適な茶杓
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▼白竹の元節の茶杓
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▼オーソドックスな白竹の茶杓。元節
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よくある質問
Q1. 予算5,000円でも、納得のいく質の茶杓は見つかりますか?
はい、十分に見つかります。3,000円~5,000円あれば、職人が丁寧に削り出した国産の白竹茶杓が手に入ります。価格以上に「肌のきめ細かさ」を重視しましょう。
Q2. メルカリやアンティークショップで「一点物」を探す際の目利きポイントは?
「乾燥によるひび割れ」に注意。 写真を拡大し、先端から節にかけて亀裂がないか確認してください。また、保護用の「筒」がセットになっているものを選ぶのが安心です。
Q3. 茶杓は水洗いしても大丈夫?
竹製は水洗い厳禁です。 使うたびに乾いた布やティッシュで抹茶を優しく拭き取るだけでOK。湿気と直射日光を避け、筒に入れて保管することで、飴色の美しい経年変化を一生楽しめます。
まとめ
茶杓は、あなたが自分自身と向き合う時間を象徴する道具です。まずは手の届く価格の、けれどもしっかりとした職人の手仕事が感じられる一本から始めてみませんか?その一筋が抹茶を掬い上げる時、あなたの日常には確かな「静寂」が訪れます。

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